決議・声明

          那覇市内における強盗殺人事件及び米軍人被疑者の逮捕に関する会長談話

 

 2026年10月3日未明、那覇市内のホテルにおいて女性が殺害され金品が奪われた強盗殺人事件に関し、米海兵隊普天間飛行場所属の軍人が被疑者として逮捕されました。

 

 尊い命を理不尽に奪われた被害者の方のご無念を思うと胸が塞がる思いであり、謹んで深く哀悼の意を表します。また、悲嘆とご心痛の中にあるご遺族の皆様に対しまして、心よりお悔やみを申し上げます。

 

 仮に報道されている被疑事実が真実であるとするならば、人の尊厳を根底から踏みにじる極めて残忍かつ非道な犯行であり、断じて許すことはできません。 

 沖縄県民は、戦後から今日に至るまで、米軍基地の過重な負担のみならず、米軍関係者による凶悪事件や事故によって幾度となく生命や平穏な日常を脅かされ、深い苦しみを強いられ続けてきました。こうした歴史的経緯を踏まえれば、今回の事件を受けて県民の皆様の間に激しい怒りと深い不安が広がり、実効性のある再発防止策を講じてこなかった米軍や日本政府の無策に対して厳しい批判の声が上がることは、極めて自然なことです。米軍及び日本政府は、このような沖縄県民の思いに真摯に応える必要があります。

 

 他方で、近代刑事司法の根幹には「適正手続の保障」と「推定無罪の原則」が存在します。憲法や国際人権規約が保障するとおり、いかなる者であっても、公開の法廷において適正な手続を経て有罪と確定されるまでは、無罪と推定されなければなりません。とりわけ本件において被疑者は事実関係を否認していると報じられています。捜査段階において被疑者が犯人であることを前提とした断定的な言動や報道は慎まれるべきであり、司法の判断を冷静に見守る姿勢が求められます。

 

 また、事件の発生以降、被害者やご遺族のプライバシーを侵害し、名誉を傷つける情報が、真偽不明のものも含めて、一部報道やインターネット・SNS上において飛び交っています。ご遺族が静かに見守ることを切に望まれている中で、このような情報を拡散させることは、被害者側をさらに追い詰め、深刻な精神的苦痛を与える二次被害をもたらす重大な人権侵害にほかなりません。これらは決して許されるものではなく、厳に慎まれるべきです。

 

 沖縄弁護士会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする立場から、適正かつ厳正な捜査と、公正な司法手続の遂行を注視するとともに、被害者およびご遺族の権利・尊厳が守られ、これ以上の二次被害が生じないよう、社会全体に対して冷静かつ人権に配慮した対応を強く呼びかける次第です。

 

                              2026年(令和8年)10月13日

                                  沖縄弁護士会

                                    会長 金 髙   望

 

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