
日本政府による米軍基地由来のPFAS汚染に関する事実の隠蔽に強く抗議し、米軍に対する汚染除去の要求と、徹底した情報公開を求める会長声明
報道によれば、米軍嘉手納基地及び普天間基地(以下「両基地」という。)周辺の有機フッ素化合物(PFAS)汚染を巡り、在日米軍は、2023年12月の日米協議において、基地内の消火訓練場からPFASが地下に浸透したことを把握し、両基地が周辺の汚染源であることを日本政府に対して認めていたとのことである。加えて、米軍は、当該事実を日本側が公表しても構わないとの立場を示していたとも報道されている。
ところが、日本政府は、当時、両基地が汚染源であることを米軍が認めた事実を秘匿し、明確なデータがないなどと説明のうえ、沖縄県が求めていた基地内への立入調査を米軍が拒否したことのみを発表した。日本政府は、現時点でも、両基地周辺で検出されたPFOS等と米軍との関係について確たることを言うことが困難等と述べ、米軍が公表を容認していたという事実の有無についても、米側との関係があるため答えられない旨述べている。
報道が事実であれば、以下の2つの観点から極めて深刻な問題が含まれている。
第一は、県民の生命・身体への悪影響が懸念されているPFOS等の汚染源について汚染者である米軍が認めているにもかかわらず、日本政府が米軍に対する抗議や汚染除去を求める対応をしていない点である。
PFASのうち、PFOS及びPFOAは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約によって国際的に製造、輸入及び使用等が禁止・制限され、国内では化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律によって第一種特定化学物質に指定されている。沖縄県内では、両基地周辺の河川・湧水等から高濃度のPFOS等が検出され続け、県民の血中から全国平均を上回る値が検出されるなど、現在進行形で県民の生命・身体の安全が脅かされている。
汚染原因者負担の原則は、環境法秩序における基本原則の1つである。米軍がPFOS等の排出源であることを自認している以上、日本政府は、米軍に対し、土壌・地下水の抜本的な汚染除去(及びその前提としての徹底調査)を米軍自身の責任と負担において実施するよう、直ちに要求すべきである。
第二は、日本政府が、米軍自身が公表することを容認していた重大な事実を公開せず、何ら見解を示さない点である。
2016年1月、嘉手納基地から流れ出る大工廻川における高濃度のPFOS汚染が報道で明らかにされて以降、県内においてPFOS等汚染が米軍基地由来であることの解明を求める声は強い。沖縄県では、2016年度実施の全県的な水質調査の結果を踏まえ、2017年度以降、米軍基地周辺の河川及び湧水等について継続的な水質調査を行うとともに、汚染源特定のために米軍基地への立入調査の申請を度々行ってきた。日本政府の情報隠蔽は、県民の知る権利を侵し、県民の政治的意思決定や沖縄県の政策決定を歪めるものであって、断じて容認することはできない。日本政府は、直ちに、一連の経過を真摯に説明し、関連情報を全面的に公開するべきである。
当会は、2019年7月24日付け会長声明において、水質汚染に対する対策が取られずにいることが沖縄県民の健康・安全を脅かす重大な人権問題であることを指摘し、基地内への立入調査と原因究明、汚染除去、及び調査結果や浄化計画の随時公表を強く求めた。また、2020年3月27日の定期総会決議及び同年5月22日、2021年8月27日の各会長声明においても、日米地位協定の構造的欠陥を批判し、県民の健康と生活環境の回復を一貫して訴えてきたところである。
当会は、改めて、情報を隠蔽し、米軍基地由来の重大なPFOS等汚染を放置し続ける日本政府に対して強く抗議し、汚染原因者である米軍に汚染除去を要求するよう求めるとともに、真摯な説明及び関連情報の全面的な即時公開を求めるものである。
2026年(令和8年)9月30日
沖縄弁護士会
会長 金 髙 望








