法律コラム

 

国選弁護制度の拡充

2026年8月19日 琉球新報 法律何でも相談コラム 掲載 

国選弁護制度の拡充

 

Q どうして罪を犯した人の弁護をするのですか?

A みなさんは「魔女裁判」を知っていますか。ゲームや漫画などで人気のアレ、ではなくて、歴史上実在した魔女裁判のことです。証拠もなしに拷問で自白を強要されるなど不当な手続で人々が処罰されました。

 現代では、罪を犯したと疑われた人に対しても、適正な手続の下で裁判を受けることができるよう、基本的人権として弁護人依頼権が保障されています。また、経済的な事情から自分で弁護士に依頼することができない場合でも、国が費用を負担して弁護人を選任する「国選弁護制度」を利用して、弁護士による弁護を受けることができます。

 もっとも、現在の国選弁護制度では、逮捕されてから留置が決定されるまでの最長72時間は、国選弁護人の選任が行われません。逮捕直後、被疑者は極めて不安な状況におかれますが、その段階では国選弁護人が選任されないのです。

これは大きな問題なので、弁護士会ではボランティア態勢を組んで「当番弁護士」の派遣を行っています。しかし、本来であれば、そのようなボランティアではなく、国の事業としての国選弁護制度を逮捕段階にも拡大すべきです。

このような観点から、沖縄弁護士会では、2026年6月10日、国選弁護制度の逮捕段階への拡大など刑事手続の充実を求める総会決議を行いました。

 冒頭の問いに戻りますと、罪を犯したのだと決めつけて反論も許さなかった「魔女裁判」を繰り返さないため、というのが答えの一つです。罪を犯したと疑われてしまうことによって、誰もが刑事事件の被疑者や被告人になり得ます。弁護人依頼権の保障は、限られた人にだけ意味のあるものではなく、社会全体を守るための仕組みでもあります。

 私たち沖縄弁護士会は、市民の方々の権利擁護のため、今後も活動を続けていきます。

沖縄弁護士会

会員 佐賀優季

 

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