改正小型無人機(ドローン)等飛行禁止法に基づき
辺野古新基地建設工事が進められている米軍キャンプ・シュワブ沿岸の提供水域を対象防衛関係施設として指定したことに抗議し、同指定の撤回を求める会長声明
2020年(令和2年)8月7日、河野太郎防衛大臣は、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブを含む29施設・区域を、小型無人機(ドローン)の飛行を禁止する防衛関係施設に指定した(以下「本指定」という)。
当会は、2019年(令和元年)7月16日に「改正小型無人機(ドローン)等飛行禁止法に基づき辺野古新基地建設工事が進められている米軍キャンプ・シュワブ沿岸の提供水域を対象防衛関係施設として指定しないことを求める会長声明」を発表し、名護市の米軍キャンプ・シュワブ沿岸の提供水域を対象防衛関係施設として指定しないことを求めた。
改正小型無人機(ドローン)等飛行禁止法は、事前に施設管理者の同意を得ない限りドローンを飛行させてはならない定めになっているので、抜き打ち的な取材・監視を不可能にするという根源的な問題を含む上に(なお、防衛省は、災害その他緊急やむを得ない場合を除き、飛行の10営業日前までに同意の申請を求めている。)、対象防衛関係施設の指定の基準が曖昧であることから不必要な指定がされる恐れがあり、また、在日米軍施設においては当該施設の司令官等に同意不同意の権限が委ねられ、その判断の透明性や公平性の確保、不当な不同意への不服申立て手段が見あたらないなどの多数の問題点をはらんでいる。そして、本指定は、上記の問題点を解消しないままなされたものであり、報道機関の取材の自由や国民の知る権利を不当に侵害するものと言わざるを得ない。
しかも、現在名護市の米軍キャンプ・シュワブ沿岸の提供水域で行われているのは辺野古新基地建設工事であり、報道機関の取材の自由及び国民の知る権利を制限してもなお、ドローン等の飛行を禁止にして防がなければ公共の安全が守られない程のテロ等の危険性が認められるかは大いに疑問であり、本指定は、極めて問題がある。
よって、当会は、本指定に厳重に抗議するとともに、本指定を速やかに撤回することを求める。
2020年(令和2年)8月14日
沖縄弁護士会
会 長 村 上 尚 子