死刑執行停止を求める会長声明
当会は,本年3月9日,
○ 死刑判決を下すのは人である以上,えん罪による処刑が不可避であること
○ 日本弁護士連合会が,死刑制度が抱える様々な問題点を踏まえ,国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきであると宣言したこと
○ 国際的には死刑廃止が大きな流れになっていること
などを踏まえ,昨年12月19日の東京拘置所における2名に対する死刑執行に関し,強く抗議するとともに,死刑制度廃止を目指し,まずは死刑執行を停止した上,死刑廃止についての全社会的議論を喚起することを求める会長声明を出した。
ところが,本年3月中旬,オウム事件死刑確定者13名のうち7名が東京拘置所から全国5か所の拘置施設に移送された。法務省は,この移送は死刑執行と無関係であるとコメントしているが,マスコミ各社はこれら13名に対する死刑執行の準備に入ったのではないかと伝えている。この13名の中には現に再審請求中の者や心神喪失の疑いがあるとされる者もいる。
折しも,2020年には,我が国においてオリンピック・パラリンピック及び国連犯罪防止刑事司法会議が開催されることが決定しており,今,世界が我が国を注目している。こうした時期に,世界の多くの国とともに自由民主主義・人権の尊重という価値理念を共有する我が国が,死刑廃止の世界的な潮流に逆行し,13名にも上る者に対する大量の死刑執行に及んだとなれば,国際的非難を招き,我が国の国際的な地位を低下させることは必至である。
当会は,改めて,本年3月の会長声明同様,政府が,死刑制度の廃止を目指し,すべての死刑確定者について死刑の執行を停止することを求める。
2018年(平成30年)6月29日
沖縄弁護士会
会長 天 方 徹