「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)の廃案を再度求める会長声明
1 2016年12月6日、衆議院本会議において「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」,以下「本法案」という。)が可決された。
当会は,2014年10月28日にも本法案の廃案を求める会長声明を発出しているが、衆議院本会議での本法案の可決を受け、改めて本法案に断固反対し,本法案の廃案を強く求めるため本声明を発出するものである。
2 2014年10月28日付け会長声明でも指摘しているとおり、カジノの解禁は,ギャンブル依存症患者の増大,これによる多重債務問題の再燃,青少年の健全な育成への悪影響,さらには暴力団員等の反社会的勢力の関与,マネー・ロンダリングに利用される危険性,犯罪の発生の増加及び風俗環境の悪化等多くの弊害が強く懸念されるところである。しかし、これらに対する具体的な対策は未だ取られていない。
3 カジノは「賭博」の一種である。賭博行為が国民の射幸心をあおり,勤労意欲を失わせ,勤労の美風を害するばかりか、副次的に犯罪を誘発し、国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあることから,刑罰をもって賭博を禁止してきた(刑法185条,186条)。
本法案は、このような法制度の趣旨に真っ向から反し、民間企業における賭博を認める内容である。このような法案を可決するにあたっては,カジノ解禁による様々な弊害に対する具体的対策を導入し,そのうえで法案に対する国民のコンセンサスを得ることが必要不可欠である。
4 しかしながら、本法案は,いったん2013年12月に国会に提出されたものの実質的な議論が行われないまま,2014年11月の衆議院解散に際し一旦廃案となり,さらに2015年4月に再提出となったが,約1年半以上もの長期間全く審議されずに放置されていた。ところが、2016年11月30日に急きょ内閣委員会で審議入りをし,わずか6時間という極めて短時間の審議だけで3日後に委員会採決を行った。このような審議の在り方に対しては,マスメディアからも厳しい批判がされており,本法案が国民のコンセンサスを得たとは到底評価し得ない状態である。
5 以上より,当会は,本法案に断固として反対し,同法案の即時廃案を再度求めるものである。
平成28年12月14日
沖縄弁護士会
会 長 池 田 修