警察官らによる差別発言に強く抗議する会長声明
2016年(平成28年)10月18日、東村高江において、建設中のオスプレイ離着陸帯建設工事に反対する住民に対し、大阪府警察機動隊に所属する警察官2名から、「土人」「シナ人」と住民を侮蔑する言葉(以下「本件発言」という。)が発せられた。
当会は、2014年(平成26年)5月18日「ヘイトスピーチについて考える」と題するシンポジウムを開催し、「特定の個人や集団、団体などの人種、宗教、民族的な文化などを差別的な意図をもって貶(おとし)める言動」を、「ヘイトスピーチ」と捉え、「ヘイトスピーチ」は、憲法が保障する人格権(憲法13条)、すなわち、人が人として尊重される権利を侵害するものであることを確認した。このような発言は、社会的に少数で不利な状況におかれた人々の心を傷つけ、さらに不利な状況に追い込むうえ、偏見を助長することにもつながりかねず許されないものである。
本件発言は、反対行動を行う沖縄県民に対して差別的な意図をもって貶(おとし)める言動であり、人格権侵害を伴う「不当な差別的発言」であって、「ヘイトスピーチ」に他ならない。
特に、本件発言は、公権力を行使する警察官による差別的発言であって、一般市民の言動とは質的に異なることから、強く非難されるべきものである。
当会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の団体として、沖縄県民に対する「不当な差別的発言(ヘイトスピーチ)」に強く抗議するとともに、このようなことが繰り返されないよう強く求めるものである。
2016(平成28)年11月10日
沖縄弁護士会
会 長 池 田 修