決議・声明

成年後見制度利用支援事業の実施等を求める会長声明
 
2000年4月から施行されている成年後見制度は、判断能力が不十分となった認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理や日常生活等に支障がある者が、自己決定の尊重や残存能力の活用との調和の中で、本人の財産管理や身上監護における必要な保護を図るため、これを必要とする国民に広く活用されることを期待されている。
このような成年後見制度について制度の理解が不十分であることや、費用負担が困難なこと等から制度の利用ができないといった事態を防ぐために成年後見制度利用支援事業があるところ、これは市町村が実施するものである。
成年後見制度利用支援事業は、成年後見制度利用促進のための広報・普及活動や成年後見制度の申立てに要する経費及び後見人等の報酬に対する助成等を行うものである。同事業は、当初、介護保険法に基づく地域支援事業の任意事業として各市町村が実施できるものと規定されていたが、障害者自立支援法の改正により2012年4月から市町村地域生活支援事業の必須事業に格上げされた。
市町村が成年後見制度利用支援事業の要綱整備を行うことにより、資力が十分でなく成年後見人等への報酬の支払いが困難な被後見人に対しても、報酬助成を行うことができることとなる。
本年4月8日に成立した「成年後見制度の利用の促進に関する法律」は、第11条において、市町村長による後見開始等の審判請求の積極的な活用その他の必要な措置を講ずること(7号)、成年後見人等に対する報酬の支払の助成、その他の成年後見人等又はその候補者に対する支援の充実を図るために必要な措置を講ずること(8号)を新たに規定した。同法は、財産の管理や日常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うために成年後見制度が重要であるにもかかわらず、これまで十分に利用されてこなかった反省に基づき、成年後見制度の利用促進を目的として策定されたものであるころ、同法の趣旨に鑑みても、成年後見制度利用支援事業は、成年後見制度利用促進のための重要な制度として位置づけられる。
 沖縄県内の状況を見ると、県内41市町村のうち過半数が、成年後見制度利用支援事業の要綱等整備を行っているものの、かかる整備を行っていない市町村も一定数みとめられる。また、要綱等整備を行っている市町村についても、その相当数が成年後見制度利用支援事業を市町村長による後見開始等の審判請求のみに限定している状況である。
沖縄県内の市町村は、資力の乏しい者についても、必要な成年後見制度の利用ができるよう、速やかに成年後見制度利用支援事業を実施するのをはじめとして、市町村長による後見開始等審判請求事案に限定することのない報酬助成制度を創設すべきである。また、国及び沖縄県は、沖縄県内の市町村に対し、これらに関する必要な助言、指導を緊急に行うべきである。
 当会は、今後も関係諸機関とともに、県内の市町村と協力・連携し、高齢者・障害者の権利実現に向け積極的に行動する所存である。
 
2016年11月1日
                   沖縄弁護士会
                   会 長 池 田   修

 

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