決議・声明

商品先物取引について不招請勧誘禁止規定の撤廃に反対する会長声明

 

 不招請勧誘とは、「消費者からの要請がないにもかかわらず業者から一方的に行なわれる勧誘行為」を意味し、2011年(平成23年)1月1日から施行された現行商品先物取引法は、商品先物取引については、国内公設取引所取引であっても不招請勧誘を禁止する規定を設けた。
 同規定は,商品先物取引業者が、極めて投機性の高い商品先物取 引について、本来勧誘対象とすべきではない高齢者や投資取引の経験もない消費者に対し、勧誘対象者からの要請もアポイントメントもないまま突然電話や訪問をした上で、商品先物取引によって大きな利益が得られるということのみを強調し、投資のリスクや危険性を認識させないまま商品先物取引に勧誘するという不公正な勧誘を行って取引に引きずり込み、深刻かつ悲惨な被害を多数生じさせていた実情に鑑み、消費者・被害者関係団体等の長年にわたる強い要望によって、ようやく導入されたものであった。
離島県である沖縄においても商品先物取引被害は多発しており、先物取引業者外務員が離島にまで赴いて無差別の勧誘を行ない、同一会社による多数の被害が全県的に発生するということが何度か繰り返され、複数会社の支店まで設置される状態が続いた。
しかし、不招請勧誘の禁止以後、そのような無差別勧誘が不可能となったことから、商品先物取引に関する被害も減少し、沖縄に設置されていた支店も撤退するに至っている。
 ところが、本年6月19日、衆議院経済産業委員会において、証券・金融・商品を一括的に取り扱う総合取引所での円滑な運営のための法整備に関する議論の中で、内閣府副大臣は、委員の質問に対し、「商品先物取引についても、金融と同様に、不招請勧誘の禁止を解除する方向で推進していきたい」旨の答弁をした。
 この答弁は、総合取引所において商品先物取引業者に対しても監督権限を有する金融庁が、総合取引所に関する法規制について、不招請勧誘禁止規定を撤廃することを検討していることを示すものである。
 総合取引所を創設し、そこでは商品先物取引も扱えるようにして、適用法規も金融商品取引法にするという制度の準備が進められているが、現在、金融商品取引法が不招請勧誘を禁止しているのは店頭デリバティブだけであり、取引所取引は対象とされていない。総合取引所で商品先物取引が取引されると、商品取引業者による電話・訪問勧誘が解禁されてしまうことになり、ようやく沈静化した商品先物取引被害が再び増加し,社会問題化することが強く懸念される。
よって、当会は、消費者保護の観点から、商品先物取引について、不招請勧誘禁止規定を撤廃することに反対するものである。 

    2013(平成25)年11月25日
          沖 縄 弁 護 士 会
          会 長   當  真  良  明

 

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