決議・声明

法科大学院の地域適正配置を維持・発展させるための政策的配慮を求める会長声明

 

 2012(平成24)年8月,法曹養成制度の在り方について検討を行うため,内閣に法曹養成制度関係閣僚会議(以下「閣僚会議」という。)が設置されるとともに,法曹養成制度の在り方について学識経験者等の意見を求めるため,閣僚会議の下に,法曹養成制度検討会議(以下「検討会議」という。)が設置された。現在,検討会議においては,法科大学院の統廃合や定員削減,法科大学院の地域適正配置等についても検討がなされている。
 2004(平成16)年にスタートした法科大学院制度は,多数の有意な人材を生み出すなど一定の成果をあげている一方で,司法試験合格率の低迷,入学志願者の激減等の深刻な問題に直面している。ここからすれば,法科大学院の統廃合や定員削減について検討することは必要ではあるが,同時に,統廃合と定員削減の結果,法科大学院の地域適正配置が損なわれる事態を生じさせない政策的配慮が必要不可欠である。
 すなわち,司法試験の受験資格を原則として法科大学院修了者に限定することを前提とした場合,資力が十分でなかったり,家庭や仕事等の事情から転居が困難な地方在住者など,広く国民に法科大学院で学ぶ機会を保障するために,法科大学院が全国に適正配置されることは必要不可欠である。特に,離島である沖縄県においては,その必要性は高い。
また,地方の法科大学院は,地方の多様な法的ニーズに応える法曹の養成とともに,地方を支える人材の育成という役割も担っているというべきであるから,法曹養成に必要な資金や優秀な教員等のリソースを,政策的に地方に配分し,地方の法科大学院の充実を図ることも併せて検討すべきである。
 もちろん,法科大学院の地域適正配置とはいっても,適正な教育水準の確保が前提となるが,教育水準等につき深刻な課題を有すると指摘されている地方の法科大学院も少なくない。
 しかし,例えば,当会が支援している琉球大学法科大学院においては,入学者の競争倍率や司法試験の合格率等において厳しい状況に陥った時期もあったが,法科大学院自体が強い危機感をもって教育改善等に取り組み,当会がこれを積極的に支援したことなどにより,入学者の競争倍率や司法試験の合格率等が上昇するなど相当程度の改善が図られている。このように,地方の法科大学院においても,法科大学院自体が教育改善等に取り組み,地元弁護士会と連携することによって,適正な教育水準を確保することは十分可能であるから,地方法科大学院が現時点において問題を抱えている場合であっても,真摯に改善に取り組んでいるときは,その成果を見極めるまでの一定期間は統廃合の対象とせず,同時に,改善のために必要な資金や教員等が確保できるような支援を行うなどの政策的配慮が検討されるべきである。
 そこで,当会は,検討会議及び閣僚会議に対して,法科大学院の統廃合や定員削減を検討する際には,法科大学院の全国適正配置の必要性や重要性を最大限考慮し,法科大学院の地域適正配置が損なわれる事態を生じさせず,むしろ将来的に地域適正配置の充実が可能となるような政策的配慮を盛り込んだ意見を取りまとめるよう強く求める。

 

2012(平成24)年12月17日
沖縄弁護士会 会長 加藤 裕

 

 

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