決議・声明

沖縄へのオスプレイ配備強行に反対する会長声明
 
1 米国防総省は、沖縄県宜野湾市の普天間飛行場に垂直離着陸機MV-22オスプレイを2012年10月にも配備する計画を明らかにしている。
2 オスプレイは、開発段階から事故を繰り返していたばかりか、2005年に量産体制に移行した後も事故が絶えず、ごく最近も、2012年4月11日、米海兵隊のMV-22がモロッコでの訓練中に墜落し搭乗員2名が死亡する等の事故を起こした。また今月14日、フロリダ州で訓練中のCV-22が墜落し乗員5名が負傷する事故が起きてもいる。米軍は、これを「人為的事故の可能性が高い」と述べるにとどまる。しかし、わずか2か月あまりの間に2度の墜落事故が発生したということ事態が、その事故原因如何にかかわらずオスプレイの事故発生の危険性が高いことを如実に示しているといわねばらならない。
 そもそもオスプレイは、設計上、「オートローテーション」(エンジン停止時に、機体が落下する際に生じる気流を利用して安全に着陸する機能)に欠陥が指摘されており、さらに、固定翼モードでの不時着に際しては、プロペラ部分を切り離して飛散させる仕様になっているということであり、その機種構造において極めて重大な危険をはらんでいるのである。
3 宜野湾市の中心に位置する普天間飛行場においては、2004年8月13日、ヘリコプターCH53Dが沖縄国際大学敷地内に墜落するという事故が起き、市街地での軍用機墜落の危険が現実のものとなった。このような事実から、司法の場においても、普天間飛行場が「世界一危険な飛行場」と指摘されていることに言及され、その危険性により住民の苦痛が増大していると判断されるに至ったのである(普天間米軍基地爆音差止等請求控訴事件2010年7月29日福岡高裁判決)。オスプレイの配備は、普天間飛行場の危険性をより一層増大させるものであり、同飛行場周辺住民の生命・身体の安全という見地から決して許されるべきものではない。
4 米国においては、ニューメキシコ州のキャノン空軍基地におけるCV-22低空飛行訓練計画が、地元住民の反対によって中断されたことが報道されている。
 ところが沖縄では、米国が発表した「MV-22の普天間飛行場配備及び日本での運用に関する環境レビュー」によれば、オスプレイは沖縄本島のほぼ全域を飛行することが明らかとなっており、オスプレイが配備されると、飛行場周辺だけでなく沖縄本島のほぼ全域がオスプレイの墜落の危険に晒されることになり、北部訓練場においては、オスプレイの低空飛行訓練までも予定されているのである。また、このレビューに引き続き、2014年には嘉手納飛行場にも配備される計画があることも明らかにされている。
5 このような危険なオスプレイの配備に対し、沖縄県内41市町村議会の全てがこれに反対する意見書や決議案を可決し、さらに宜野湾市において、今月17日、「普天間飛行場へのオスプレイ配備等に反対し、固定化を許さず早期閉鎖・返還を求める宜野湾市民集会」が開かれた。これを受け、去る19日、仲井真弘多沖縄県知事と佐喜真淳宜野湾市長は、玄葉光一郎外相及び森本敏防衛相と面談し、オスプレイ配備中止を要請している。このとおり、まさにオスプレイ配備反対は沖縄県民の総意である。
6 これまで当会では、米軍基地問題について、2004年にヘリ墜落事故に抗議する会長声明を、2005年にキャンプハンセンでの実弾射撃訓練の中止を求める会長声明を発し、さらに2010年には新基地建設に反対する総会決議を行うなどしてきた。今般のオスプレイ配備強行も、沖縄県民の生命身体そして財産に対する重大な侵害のおそれを生じさせるものであり、憲法が保障する幸福追求権の一内容である人格権(13条)、そして、平和のうちに生存する権利(前文、9条、13条など)の精神に反するといわざるを得ず、弁護士会として到底これを看過することができない。
 当会はこのようなオスプレイ配備に対して強く抗議し、米国政府に対し、オスプレイの普天間飛行場への配備計画を即時撤回するよう強く求めるとともに、日本政府に対して、オスプレイの日本配備を白紙に戻すべく米国と交渉するように強く求めるものである。
 
2012(平成24)年月25日
 会長  加 藤 裕

 

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