決議・声明

司法修習生の給費制堅持を求める声明

 

 現在,司法修習生の給費制について,国の厳しい財政状況を背景として,廃止あるいは貸与制に切り替えるとの議論がなされている。
 この問題について,当弁護士会は,昨年9月26日,司法修習生の給費制維持を求める声明を発表した。
 ところが,その後も給費制維持の声は押し流され,法曹養成検討会では貸与制への移行で合意が形成されるなど,給費制の廃止・貸与制への移行の潮流は止まることを知らないというのが現状である。 
 しかしながら,司法修習生の給費制は,その生活を保障することにより,修習生を修習に専念させることを目的として,現行司法修習制度と不可分一体のものとして採用されてきた極めて重要な制度である。これにより司法修習生は修習に専念し,法曹,とりわけ弁護士の公共性が制度的に担保されてきた結果,これまで社会的使命に燃えた質の高い人材が,裁判官,検察官,弁護士に輩出され,社会正義の実現に大きく寄与してきたのである。
 ところで,近時の司法改革の中で,法曹資格を得るには,司法修習生となる前に法科大学院に2年ないし3年在学することが必要とされることとなり,すでに法曹となるための財政的負担は相当に増大することが予定されている。
 これに加えて,さらに給費制まで廃止するならば,限られた者しか法曹となることはできず,やがて法曹は富裕層のみに偏重し,公平公正な裁判の実現にも影響を及ぼすことになりかねない。
 また,医師養成の分野において,研修医の生活を保障し,研修に専念できる環境を整えるために国費を支出するなどの動きがあるなか,司法修習生の給付制を廃止することは,こうした社会の動き,ひいては質の高い司法サービスを国民一般に行き渡らせるという今般の「国民のための司法改革」の趣旨に真っ向から逆行し,良質で使命感を自覚する法曹の養成を求める国民の要求にも反しているといわねばならない。
 よって,当弁護士会は,再度司法修習生に対する給費制を堅持することを強く要請するものである。

 

2004年(平成16年)6月24日     
沖縄弁護士会           
会長 与世田 兼稔

 

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