決議・声明

宜野湾市男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例案が
否決されたことについての会長談話
 
2020年6月29日、宜野湾市議会において、「宜野湾市男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例案」(以下「本条例案」という。)が反対多数で否決された。
本条例案に対する強い反対意見として、本条例案の上位法である男女共同参画社会基本法(以下「基本法」という。)には「多様性を尊重する社会」との文言がない上、男女平等と多様性の尊重を併記する上位法もなく、本条例案は法的な根拠を欠く旨の指摘があった。
しかしながら、そもそも条例制定に根拠法は不要である。そして、基本法の目的は、同法前文にもあるとおり、個人の尊厳(憲法第13条)と法の下の平等(同14条)という憲法の理念に基づき、性別を問わず、その個性と能力を十分に発揮することができる社会の形成を推進することにあり、むしろ多様性の尊重を前提としているといえる。
本条例案は、その前文で、「すべての人が平和で安心して暮らすためには、平等で多様性を認め合い、あらゆる分野において協働し、権利が保障される」必要があるとし、男女平等のみならず多様性の尊重についても明記している点で、個人の尊厳(憲法第13条)と法の下の平等(同14条)という憲法の理念に適合し、基本法の趣旨を積極的に具体化したものといえる。本条例案を成立させることは、宜野湾市が多様性を尊重する社会、すなわち、人権を尊重する社会の実現をめざす自治体であることを表明するものであり、高く評価できる。
宜野湾市・宜野湾市議会におかれては、本条例案成立について、改めて検討されたい。
また、県内の各自治体においても、男女平等とともに多様性を尊重する社会の重要性について、積極的な理解と啓発活動等を進められたい。
当会は、2019年3月、「レインボー宣言~性の多様性を尊重し性的少数者のさらなる権利保障に努めることの宣言~」を発表した。憲法の理念に基づき、性の多様性が尊重される社会を目指して、情報発信や法的サポートの充実等、様々な取組みを進めているところであり、今後も一層努力していく所存である。
 
 
2020年(令和2年)7月22日
                     沖縄弁護士会          
会 長  村 上 尚 子

 

ファイルのダウンロードはコチラ
PDF

 

前のページへ戻る