無料求人広告トラブルについて注意を求める会長談話
全国的に求人難が話題となっている昨今、沖縄県においても有効求人倍率が5年連続で過去最高を記録するなど、県内企業の人手不足は深刻なものがある。こうした中、昨年末頃からインターネット無料求人広告をめぐるトラブルが全国で多発しており、県内においてもその数が急増している。
多くのケースでは、県内の事業者が、インターネットへの広告掲載を宣伝する首都圏の会社から、無料での広告掲載の勧誘を受け、気軽に応じたところ、実際には無料期間終了後に有料掲載へ自動更新される条項が契約書に含まれており、予想もしなかった高額な広告料が請求されている。
当会会員に対する調査によれば、県内で既に50件を超える弁護士相談がなされており、弁護士相談にまで至っていない案件も存在することを考えると、実際のトラブル件数は相当な数に上るとみられる。また、同調査では、広告会社として10数社の名前が挙がっているが、その基本的な勧誘手法等はほぼ共通しているほか、中には首都圏での裁判提起を示唆して執拗な請求を行うものもあり、不本意なまま支払に応じてしまった事業者も確認されている。
この種のトラブルについては、既に地元紙により本年2月に報道がなされているが、報道後も未だ被害相談が止む気配がない。むしろ、報道後に県内事業者が広告掲載に応じた事案もあるうえ、名前の挙がった広告会社の求人サイトにも、未だ相当数の県内事業者の広告が見られることから、今後もトラブルが続くことが懸念される。
県内事業者は、トラブルに巻き込まれないために、インターネット無料求人広告を申し込む際、自動更新条項の存在の有無を確認するほか、契約書や広告会社からの文書等を隅々まで読むなど、十分な注意を払うように心懸けていただきたい。
また、既に掲載料の請求を受けている場合も、申込書の記載内容や勧誘説明の状況等、事案の詳細により、支払義務があるか否かは異なるものと考えられる。
当会は、中小企業向け「ひまわりほっとダイヤル」(全国共通番号0570-001-240)に対応して、当会弁護士による初回30分の無料電話相談を仲介していることから、事業者は上記制度を利用するなどして、早期に弁護士に相談していただきたい。
2019年(令和元年)6月12日
沖縄弁護士会
会 長 赤 嶺 真 也