共謀罪成立に関する会長談話
本日、共謀罪の創設を内容とする組織的犯罪処罰法の改正案が、参議院本会議において成立した。
当会は、これまで過去5回にわたり、表現の自由などの国民の基本的人権を侵害する危険性が高い上、我が国ほか各国の刑事法制における既遂犯処罰の原則にも反し、処罰対象が広範で権力による拡大解釈の危険のあるいわゆる「共謀罪」について、一貫して強く反対の意思表明を行ってきた。
本国会における国会審議を通じても、共謀罪が国民の基本的人権を侵害する危険性が高いことや、拡大解釈の危険があり濫用のおそれあることなど、共謀罪に対する様々な懸念や不安が払拭されるような審議が行われたとは、到底いえないものである。とりわけ、参議院における審議は、その審議時間がわずか20時間にも足りない上、法務委員会の中間報告のみで同委員会の採決が省略されるという異例の手続により成立したものである。これは、国民から重大な懸念が指摘されている法案の成立にあたって、十分な審議が行われたものと言えないのは明白であり、良識の府・理性の府としての存在意義を自他ともに認める参議院の在り方に照らして、極めて残念なものというほかない。
当会は、本法律が恣意的に適用され、国民の基本的人権が侵害されることのないように注視するとともに、今後も引き続き、日本国憲法における基本的人権尊重の立場から、本法律の廃止に向けた取り組みを行う所存である。
2017(平成29)年6月15日
沖 縄 弁 護 士 会
会 長 照 屋 兼 一