決議・声明

集団的自衛権行使を可能とする安全保障法制に反対する総会決議

1 当会は、2014年(平成26年)5月28日、「憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する総会決議」を可決した。その内容は、閣議決定による憲法解釈の変更により集団的自衛権の行使を可能とすることは、憲法の平和主義(第9条、前文)、そして、政府や国会の権力行使を憲法の制約下におくという立憲主義(第10章、第98条、第99条)に違反するというものである。

  当会の上記決議に前後して、日本弁護士連合会、九州弁護士会連合会等の各ブロック弁連、そしてほとんどの各単位弁護士会が、上記決議と同様の理由により、閣議決定による憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を可能とすることに反対する決議や会長声明を採択、公表した。

2 ところが、政府は、2014年(平成26年)7月1日、集団的自衛権の行使容認等を内容とする閣議決定を行った。そして、政府は、現在、当該閣議決定を受けて、集団的自衛権を行使することが可能になるように、自衛隊法や武力攻撃事態法その他関連法改正案等を今国会(第189回通常国会)に提出している。同改正法等が成立すれば、自衛隊は、時の政府や国会により要件を満たしていると判断されれば、世界中のあらゆるところに展開し、戦争に参加して武力行使をすることができるようになりかねない。

3 しかしながら、2014年(平成26年)の当会総会決議のとおり、政府が憲法解釈の変更を行うことにより集団的自衛権の行使を可能とする上記閣議決定は、平和主義(憲法第9条、憲法前文)に違反するとともに、政府や国会の権力行使等を憲法の制約下におくという立憲主義(第10章、第98条、第99条)に違反しており、憲法違反である。したがって、当該閣議決定を受けた集団的自衛権の行使を可能とする自衛隊法や武力攻撃事態法その他関連法の改正自体に反対であるとともに、仮に国会で改正がなされたとしても、当該法律も、平和主義や立憲主義に違反し、憲法違反の法律となるのであって、憲法第98条1項により、違憲無効とされるべきものである。

4  本年で戦後70年を迎える。とりわけ、沖縄県においては、先の大戦で、苛烈を極める地上戦を経験し、筆舌に尽くしがたい大きな犠牲を払った。

  当会は、このような戦争による犠牲を踏まえて制定された日本国憲法の平和主義は、戦後どれだけの期間が経過しようとも、将来にわたって守られなければならないものであると改めて決意するものである。

5 当会は、政府及び国会に対し憲法を尊重するように求め、平和主義という日本国憲法の根本原則に違反し、立憲主義という近代憲法の本質にも抵触することとなる集団的自衛権行使を可能とする安全保障法制に反対するものであって、現在審議中の上記各法案についても廃案とすることを求めるものである。

 

2015年(平成27年)5月27日

     

 

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