沖縄への新たな米軍基地建設に反対する決議
日本政府は,平成22(2010)年5月,米軍普天間飛行場の代替施設を沖縄県内に建設するという方針を表明した。
沖縄県は,戦後,現在に至るまでの長きにわたり,国土のわずか0.6パーセントの面積の中に広大な在日米軍施設を負担し,今なお,全ての在日米軍専用施設の約74パーセが,県内に集中している。それにもかかわらず,今また沖縄県内における新たな米軍基地が建設されるとすれば,それは,沖縄県にのみ過重な負担を強い続けるという意味において,法の下の平等を定めた日本国憲法第14条の精神に反するものである。
その上,米軍基地の整理縮小を求める県民の意思を無視して沖縄に新たな基地建設を推し進めるとすれば,それは,沖縄県民の尊厳を踏みにじるもので,個人の尊厳を定める憲法第13条の精神に反するものというべきである。
もとより,世界で最も危険とも評される普天間飛行場が,現状のまま固定されることがあってはならない。県民の生命・身体・財産を脅かす同飛行場の危険性の除去は一刻も早く成し遂げなければならない。しかしながら,同飛行場の返還と引換に県内に新たな米軍基地を建設することは,日本国憲法のもとでは,決して許されない。
われわれ沖縄弁護士会は,県民の人権を擁護すべき団体として,県内における新たな米軍基地の建設が,憲法の精神に反する重大な人権問題であるとの認識に立ち,沖縄県内への新たな米軍基地の建設に対し,強く反対するものである。
右決議する。
平成22年(2010年)12月13日
沖縄弁護士会臨時総会