決議・声明

米兵による性犯罪事件に関する情報が速やかに公表されなかったことに抗議する会長声明

 

1 那覇地方検察庁は、2024年3月27日、米兵によるわいせつ目的誘拐、不同意性交等事件を起訴し、同年6月17

 日、別の米兵による不同意性交等致傷事件を起訴した。

  各事件を沖縄県が把握したのは2024年6月25日以降の報道によるものであり、沖縄県警察、検察庁からの公表は

 なく、それまでに沖縄県、関係市町村、ひいては県民に知らされることはなかった。

  また、外務省は、米国から上記各事件の情報を入手したにも関わらず、沖縄県及び関係市町村に対し、情報を伝達しな

 かった。

 

2 国民は、行政機関が保有する情報について、自由にアクセスすることができ、かつ、情報の積極的な提供を行政機関に

 要求する権利、すなわち、知る権利を有している(憲法21条1項)。在日米軍に係る事件に関する情報は地域社会にと

 って重要な情報である。とりわけ、日本全国に存在する米軍専用施設の約70%が沖縄に集中し、沖縄県民が米軍基地と

 隣り合わせで生活を余儀なくされ、数々の米軍基地に起因する事件が発生している状況下では、米兵による事件に関する

 情報は、速やかに沖縄県、関係市町村、ひいては県民に知らされなければならない。

  一方で、前記各事件のように社会的に注目される事件の場合、被害者が取材、報道によるプライバシー権や名誉権侵害

 といった二次被害を受ける危険性は否定できない。

 

3 よって、当会は、国及び沖縄県警察に対し、前記各事件の情報を速やかに伝達及び公表しなかったことに抗議するとと

 もに、今後、米兵による犯罪の情報については、知る権利にこたえるべく、また県民の安全を守る観点からも、被害者の

 プライバシーその他の利益に十分配慮したうえで、速やかに伝達および公表することを求める。

 

                            2024年(令和6年)7月12日

                                沖縄弁護士会 

                                  会長 野 崎 聖 子

 

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