オスプレイの撤去を求める会長声明
1 2023年11月29日、米軍横田基地に配備されていたCV22オスプレイが嘉手納基地に向かう途上、屋久島の東約1
キロの沖合で墜落し、乗員8人全員の死亡が認定された。オスプレイによる国内での死亡事故は今回が初めてである。
2 2012年10月1日に普天間基地に配備されたオスプレイは、2018年には横田基地にも配備され、さらに、陸上自衛
隊が2020年より木更津駐屯地でのオスプレイの暫定配備を開始し、今後佐賀空港に正式に配備する計画としているが、2
022年3月にはノルウェーでMV22が墜落し4人が死亡、同年6月には米カリフォルニア州で同機が墜落し5人が死亡、
今年8月にはオーストラリアで同機が墜落し3人が死亡するという事故を起こしている。今回の事故は、直近の事故のわずか
3か月後に発生している。
3 沖縄県は、今回の事故当日、沖縄防衛局及び外務省沖縄事務所に対し原因究明までのオスプレイの飛行停止を求めた。
CV22オスプレイもMV22オスプレイも機体の基本構造は共通し、同一の部品が使用されている上、今回の事故の原因
が新たな不具合によるものである可能性もあることからすると、事故原因を究明し安全性が確認されるまで、全てのオスプレ
イの運用を停止することは当然である。
しかしながら、事故後、在日米軍は、CV22オスプレイの運用を停止したもののMV22オスプレイの飛行は継続し、1
2月7日午前(日本時間)になってようやく、全てのオスプレイの飛行を停止すると発表するに至った。
同日には、沖縄県議会が事故原因の究明と実効性ある再発防止策が講じられるまですべてのオスプレイの飛行を中止するこ
とを求める意見書を全会一致で採択し、オスプレイの飛行中止を求める県民の意思は明確となったが、オスプレイには県民の
生命、身体及び財産に対する重大な侵害の危険性がある以上、飛行停止にとどまらず、全面撤去することこそが重要である。
4 米軍は、初期調査によって、機材の故障が事故原因となった可能性があるものの、根本的な原因は現時点では判明しておら
ず、飛行停止して原因特定の徹底した調査を行うとしている。
仮に米軍が事故原因を究明し、安全性が確認されたと結論付けたとしても、今回の事故機の残骸はすでに米側に引き渡され
ており、日本政府や防衛省による原因究明はできない。日本法令の原則適用が規定されていない日米地位協定が、日本側によ
る原因究明を阻んでいるのである。
これまでの事故において米軍が事故原因を調査したにもかかわらず、今回の事故が発生したことからすると、米軍による調
査の信用性には疑問が残ると言わざるを得ない。
5 かかる状況が続く以上、もはや、国内にある全てのオスプレイの撤去を求める以外、その墜落等の危険から我々の生活の安
全を確保する術はない。
当会は、2012年6月25日に「沖縄へのオスプレイ配備強行に反対する会長声明」、同年10月1日に「普天間飛行場
へのオスプレイ配備開始に抗議する会長声明」を、その後、2016年12月に名護市安部での墜落事故を受けて「オスプレ
イの配備撤回を求める会長声明」をそれぞれ発してきたが、改めて、国民の生命、身体及び財産に対する重大な侵害の危険性
を除去し、人権の擁護を貫徹するため、日米両政府に対し、国内にある全てのオスプレイの撤去を強く求めるものである。
2023年(令和5年)12月14日
沖縄弁護士会
会 長 金 城 智 誉