法律コラム

 

DNA型鑑定不正問題とは?

2026年1月29日 琉球新報 法律何でも相談コラム 掲載 

DNA型鑑定不正問題とは?

 

Q:佐賀県警所属の技術職員が、DNA型鑑定で虚偽の書類を作成する等の不正を行っていたとの報道がありました。どのような問題があるのですか。

 

A:2025年9月8日、佐賀県警は、記者会見で、同県警本部科学捜査研究所に属する技術職員が、7年余りにわたり、DNA型鑑定で実際は行っていない鑑定を行ったように装う等、虚偽内容の書類を作成する等の不正行為を繰り返したことを公表しました。佐賀県警の発表によると、このような不正行為は130件確認され、うち16件の鑑定結果は証拠として佐賀地検に送られていたとのことです。

 人の細胞核には、遺伝情報を担うDNAが存在します。人のDNAは、移植等を受けていない限り、身体の全ての組織について共通で、終生不変であるとされています。そのため、DNA型鑑定は、格段に高い個人識別能力を有するとされています。

 このように、DNA型鑑定は、捜査及び公判において、被疑者・被告人と犯人の同一性を立証するために用いられる極めて重要な証拠になり得るものです。もっとも、それは当然、DNA鑑定の過程が適正になされていることが前提です。DNA型鑑定が適正に実施されることは、無実の人間が誤って処罰されてしまうことを防ぐとともに、真犯人を発見し適正な処罰を実現するためにも重要であるといえます。

 今回、佐賀県警が公表した不正行為は、科学鑑定の信頼を根本から揺るがし、ひいては警察による捜査全般に対する信頼を失墜させかねないという点で問題であるといえます。今回の問題を受けて、沖縄弁護士会を含め各弁護士会は、佐賀県警の不正行為に関する是正等を求める会長声明を発しています。第三者による徹底した原因究明と再発防止が不可欠です。

沖縄弁護士会

会員 田場 潤斉

 

 

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