法律コラム

 

佐賀県警DNA型鑑定不正行為 捜査に影響 否定できず

2026年1月13日 沖縄タイムス くらし相談室【法律】掲載

佐賀県警DNA型鑑定不正行為 捜査に影響 否定できず

 

Q 佐賀県警でDNA型鑑定の不正があったというニュースを耳にしました。このような不正は、刑事司法にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

 

A DNA型鑑定は、犯人と被疑者の同一性を判断するための、現代の刑事司法に欠かせない科学的手法です。鑑定が正しく行われることは、無実の人を誤って処罰することを防ぎ、真犯人を確実に見つけるためにも不可欠です。しかし昨年、佐賀県警科学捜査研究所の技術職員が、7年以上にわたりDNA型鑑定で虚偽の書類を作成するなどの不正行為を続けていたことが明らかになりました。担当した632件のうち130件で不正が確認され、その中には鑑定を実施したように装った虚偽報告や、資料の紛失まで含まれていました。

 仮に不正な鑑定結果が公判で証拠として使われていなかったとしても、その存在自体が捜査の方向性や被疑者の身体拘束の判断に影響を与えた可能性は否定できません。不正な鑑定を前提に取調べが行われていた場合、取調べの適法性が問われる事態にもなり得ます。

 科学鑑定は本来、客観性と中立性を担保するためのものです。その信頼が揺らぐことは、刑事司法全体の根幹を揺るがす重大な問題です。過去には村木事件や袴田事件で、検察による証拠の捏造・改ざんが社会問題となりましたが、今回の不正も同様に、国民の司法に対する信頼を大きく損なうものです。

 この問題を受け、沖縄弁護士会を含む全国の弁護士会は、佐賀県警に対し徹底した原因究明と再発防止策を求める声明を発出しました。警察内部だけでの調査では不十分であり、中立・公正で透明性を備えた第三者による徹底した原因究明、再発防止が不可欠です。

沖縄弁護士会

会員 太田博一

 

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