法律コラム

 

「同性婚認めない」に高裁違憲判決 法制化に向けて向け備え必要

2025年9月23日 沖縄タイムス くらし相談室【法律】掲載

「同性婚認めない」に高裁違憲判決 法制化に向けて向け備え必要

 

Q 日本の高等裁判所で、同性婚を認めないことは憲法に違反するという判決が出されたと聞きました。どのような判決か、教えてください。

 

A 2024年3月に、札幌高等裁判所は同性カップルの結婚(同性婚)が認められないことは憲法に違反する、つまり違憲であるとの判決を出しました。その後、東京、名古屋、福岡、そして大阪と同種の裁判について判断した高等裁判所のすべてが、違憲判決を出しました。

 これらの判決は、同性カップルが婚姻による法的利益を受けられないことは、性的指向(恋愛や性愛の対象がどの性別に向いているか)による不合理な差別であり、法の下の平等を定める憲法14条1項に違反すると判断しました。

 現在の日本では、同性のカップルは結婚制度の下で提供される権利(相続、税制、社会保障など)が認められないという不利益を被っているところ、性的志向は本人の意思によって選択したり変更したりすることができないものであり、同性婚を認めないことは合理的な根拠を欠く差別的な取り扱いであるとして、憲法14条1項に違反すると判断したのです。

 また、福岡高裁は、互いに相手を伴侶とし、対等な立場で共同生活をするために結合し、新たな家族を創設したいという幸福追求の願望は、カップルが異性であるか同性であるかで異ならないとして、同性婚を認めないことは幸福追求権を定める憲法13条に違反するとも判断しました。

 五つの高裁がすべて違憲判決を出したのは、画期的です。今後、最高裁判所での統一的な判断が控えていますが、高裁と同様に違憲判決を出すことが予想されています。国や自治体は、同性婚に対する理解を深め、法制化に備えた取り組みが求められています。

沖縄弁護士会

西端 裕子

 

 

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