法律コラム

 

死刑執行、いつ誰が?

2025年8月18日 琉球新報 法律何でも相談コラム 掲載

死刑執行、いつ誰が?

 

Q 今年6月に約3年ぶりに死刑が執行されたとのニュースに接しました。死刑執行の順番や時期などはどのように決められますか。死刑執行は実際誰が行いますか。

 

A 死刑の執行は法務大臣の命令によって行われ、執行は判決の確定後原則として6か月以内に行わなければならないと刑事訴訟法に定められています。大臣が死刑執行を命じたときは5日以内に執行しなければならず、死刑には検察官などが立ち会うこととされています。

 しかし、実際には、判決の確定後から6か月以内に死刑が執行されることはありません。確定後から数年以上経ってから死刑が執行されることが多く、中には十数年後に死刑が執行される場合もあります。袴田事件のように死刑判決確定から44年後に再審無罪になった方もいます。死刑の執行の順番や時期は、法務省・検察庁によって、どのように決められているのかは明らかにされていません。死刑囚には死刑の当日に刑の執行を告げられます。事前に弁護士や親族への連絡もできません。

 このように、我が国には死刑制度があり、それを現に運用しているものの、判決確定後死刑執行までの手続の実態は、ほとんど明らかにされておらず、執行関係者以外、知ることはできません。

 沖縄弁護士会では8月23日(土)午後1時半(開場は午後1時)から4時半まで、八汐荘(那覇市松尾1の6の1)で、「死刑制度を考える~死刑執行の現場から~」をテーマに、死刑執行に立ち会う刑務官の苦悩を描いた映画「休暇」の上映と、刑務官として死刑執行に立ち会った経験がある野口善國弁護士の講演を行います。あまり公にされていない死刑執行の現場を知る貴重な機会ですので是非ご参加ください(入場無料・申し込み不要。Zoom配信あり)。

沖縄弁護士会

会員 赤嶺朝子

 

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