2025年7月15日 沖縄タイムス くらし相談室【法律】 掲載
死刑判決から執行まで 刑務官にも苦悩の日々
Q 6月27日に約3年ぶりに死刑が執行されたというニュースを見ました。死刑判決が確定した後、どのように執行されているのか、よく分からないので、教えてください。
A 凶悪な事件が発生したとき、その裁判の判決が出されるまでは頻繁に報道されますが、判決が出された後から、事件に関するニュースは少なくなっていき、世間の関心も薄れていきます。これは、死刑判決が出されるような事件でも同様です。死刑判決から執行までの情報は極めて限られていて、市民の皆さんの関心も高くありません。
死刑確定者は現在100人余りいて、拘置所に収容されています。平均収容期間は15年を超すと言われています。懲役刑ではないので刑務作業の従事もなく、ただ死刑を待つばかりです。いつ誰に対し執行するのかは最終的に法務大臣が決めますが、どのような基準なのかは明らかにされていません。死刑確定者は自分の死刑執行を、当日朝にしか知ることはできません。死刑確定者は日々、執行の恐怖にさらされることになります。
他方、実際に死刑を執行する側の問題もあります。死刑を執行するのは刑務官です。職務上の行為とはいえ、自ら人を殺すことに違いはありません。執行の前後を通じ、苦悩を抱えることは想像に難くありません。
沖縄弁護士会はこの問題を取り上げ、8月23日午後1時半から、那覇市の八汐荘で「死刑制度を考える~死刑執行の現場から」と題し、『休暇』(死刑執行に立ち会う刑務官の苦悩を描いた作品)の上映会および野口善國弁護士(死刑執行の立ち会い経験がある元刑務官)の講演会を開催します。Zoom配信など詳細は沖縄弁護士会HPまで。皆さん、ぜひご参加ください。
沖縄弁護士会
会員 釜井 景介