2025年6月17日 沖縄タイムス くらし相談室【法律】 掲載
再婚で「養育費」どうなる?
Q 離婚後に、前夫は子の養育費を支払ってきましたが、私が再婚したり、再婚相手と子が養子縁組をしたりした場合には、前夫は養育費を支払う義務がなくなるのでしょうか。
A 調停や審判で決まった養育費であっても、再婚や養子縁組により支払う義務がなくなるわけではありません。ただし、いったん決まったものであっても、当事者の合意によって変更は可能です。また、合意できない場合も、「事情の変更」がある場合には家庭裁判所の審判による変更もありえます。
では、どんな場合が「事情の変更」に当たるでしょうか。養子縁組は、養育費を減額すべき「事情の変更」に該当すると解釈されています。なぜなら、親権者と養親となった再婚相手が未成年である養子の第一次的扶養義務を負うことになり、非親権者の扶養義務はその範囲で免除されると考えられるからです。減額の始期は、原則として養子縁組日に遡及すると解した上で、諸事情を総合考慮し、変更の遡及効を制限すべき事由が認められるかどうかを判断するのが判例です。
再婚が「事情の変更」といえるかは別問題です。再婚相手は子と養子縁組していなければ、当該子を扶養する義務がないからです。その場合の第一次的扶養義務者は前夫のままです。ただし、前夫と再婚相手との経済格差その他の特別な事情がある場合で、前夫から養育費減額が認められた事例もあります。
いずれにせよ家事事案は一刀両断に決することは難しく、問題に直面したらまず法律専門家への相談をお勧めします。
弁護士会では、電話無料法律相談「女性の権利ホットライン」を6月26日午前10時~午後2時まで実施します。電話098(860)5015。お気軽にご相談ください。
沖縄弁護士会
会員 当山 尚幸