2025年4月22日 沖縄タイムス くらし相談室【法律】 掲載
精神障がい者の権利保障 自立生活へ法整備必要
Q 精神障がい者について「私宅監置」という制度があったと聞きましたが、どのような制度だったのでしょうか?また、現在までに精神障がい者を取り巻く法制度はどのように変わってきたのでしょうか?
A 「私宅監置」とは、明治時代に制定された精神病者監護法に基づき、家族が精神障がい者を自宅の一室や敷地内に作られた監置小屋などに閉じ込めていた制度です。本土では1950年に精神衛生法で禁止されましたが、当時アメリカ統治下にあった沖縄では72年の本土復帰まで私宅監置が残っていました。本島北部には国内唯一の監置小屋が保存されており、精神障がい者が置かれていた過酷な環境を今に伝えています。その後、精神障がい者を取り巻く法制度は少しずつ改善されました。近年では、2022年に精神保健福祉法が改正され、医療保護入院の入院期間の法定化、虐待防止への取組み、入院者訪問支援事業の創設等が導入されました。
しかし、日本における精神障がい者の権利保障はまだまだ不十分です。日本は国連から、強制入院による自由のはく奪を認めるすべての法的規定の廃止や、精神病院に入院している障がい者のすべてのケースの見直し、無期限入院をやめ、地域社会で必要な支援とともに自立した生活を送れる法整備を求められています。強制的な入院と治療ではなく、地域で共に暮らしていける社会の実現が必要です。
強制的に入院させられた方は精神医療審査会に対し、入院が適切なものかどうか審査を求めることができます。沖縄弁護士会では精神保健当番弁護制度を整備し、退院の請求や入院中の処遇などについて相談を行っています。無料で相談することもできますので、ご連絡ください。
沖縄弁護士会
会員 伊集 朝也