法律コラム

 

非婚の母 優遇措置は

Q.私はいわゆる非婚の母です。離婚や死別した母子家庭には適用がある優遇措置が私に適用されず不利益を受けています。これって差別ではないですか。

 
A.所得税法では、離婚や死別した母子家庭に「寡婦控除」という優遇措置が認められていますが、婚姻したことのない非婚の母には認められていません(非婚の父も同様です)。そのため、非婚の母は所得が高く算出され、離婚や死別した母子世帯に比べて税金が高額になったりします。
このような所得の計算によって非婚の母世帯が公営住宅へ入居できなかったり、入居できたとしても家賃が高くなったりします。さらに、認可保育所の保育料が高くなるなど、社会福祉の面で様々な不利益を被っています。
このような取扱いは、非婚の母を合理的理由なく差別をするだけでなく、非婚の母世帯で生活する子どもを差別するもので、憲法が定める平等原則に反します。
政府は公営住宅法施行令を改正し、本年10月1日から公営住宅へ入居する非婚の母についても寡婦控除を認めるようになりました(ただし、経過措置があります)。さらに、沖縄県内26の市町村を含む全国170の市区町村では、認可保育所の保育料を決める際にも非婚の母世帯に寡婦控除の適用を認めるなど、非婚の母に対する不合理な取扱いは徐々に解消されてきています。
しかし、非婚の母に対する不合理な差別が全て解消されたわけではありません。沖縄弁護士会や日本弁護士連合会は、非婚の母親に対する不合理な差別を抜本的に解消するため、非婚の母に寡婦控除が適用されるよう所得税法を改正すべきと考えています。
 
沖縄弁護士会
会員 大井 琢
 
※琉球新報2016年11月15日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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