法律コラム

 

土地の売却 依頼先は 有資格者に業務依頼を

Q 父が50年前に他人に貸した土地を相続しました。土地を返してもらい売却したいと思っています。知人に不動産コンサルタントを紹介してもらいました。その人は、立ち退き交渉から売買の仲介、登記・税務まで任せて下さいと言っています。大丈夫ですか?

 

A 社会には、士業と呼ばれる国家資格から、民間団体が認証する資格までさまざまな資格・肩書きがあります。国家資格は、その資格を持たない人が他人のためにその業務を行うことを禁止しています。例えば法律事務は弁護士、登記業務は司法書士、税務に関する業務は税理士、官公署に提出する書類の作成は行政書士などと定められています。資格がないのに他人のために業務を行った場合は罰せられます。国家資格者は、試験に合格しただけでなく、研修等で日々研鑽を積んでおり、また資格者が不正を行った場合は監督権者が懲戒処分を課す等により信頼が確保されています。


 ご相談のケースで言うと、土地を借りている人との間で立退き交渉を行うことができるのは、弁護士のみです。立退き交渉には、借地借家法の解釈、立退料の有無など専門的な知見・判断が必要となり誰でもできるわけではありません。登記・仲介・税務もそれぞれ資格が必要です。


 専門家に依頼すると費用が高くつく、とのお考えがあるかもしれません。しかし、依頼者にとって最善の方法を提供できるのは専門的知識をもつ資格者ですし、費用の点についても無資格者の場合高額の手数料がかかることもありえます。一般的にコンサルタントは、特別な資格を必要とする肩書きではありません。コンサルタントに何を任せるのか、またコンサルタントが何を自ら行い何を専門家に任せるのか確認して依頼するようにしてください。

 

            

沖縄弁護士会

会員 平良 卓也 

※沖縄タイムス2020年11月9日『くらし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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