法律コラム

 

臨時国会の召集

Q.新型コロナウイルス対策を議論するための国会を開く開かないで揉めていたようですが、どういう問題ですか。

 
A.国会は一年中開かれているわけではなく休みがあります。例年、1~6月頃に通常国会が開かれ、秋や冬に臨時国会が開かれてきました。今年は6月17日に通常国会が閉会となりました。
 
 国会が開かれていないときに議論すべき件が出てきた場合、内閣が自ら臨時国会を召集するか、総議員の4分の1以上の議員の求めで臨時国会が開かれます。
 
 今回は、7月31日に衆議院の4分の1以上の議員が、新型コロナウイルス対策の議論をするために憲法53条に基づいて臨時国会の召集を求めたのですが、安倍内閣がこれに応じないので問題になっていました。
 
 

Q.4分の1以上の議員が求めたら、内閣は臨時国会を召集しなければならないんですか。

 
A.憲法53条後段は、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と定めています。よって、内閣は臨時国会を召集しなければなりません。沖縄弁護士会は早期の召集を求める声明を出しています。
 
 

Q.「いつまでに」と期限は書かれていないようですが。

 
A.憲法に期限が書かれていないからといって、いつでもよいということではありません。安倍内閣も、「合理的期間内」に召集しなければならないとしています。確かに何日とは書かれていませんが、例えば憲法は衆議院の解散総選挙があった時でも選挙から30日以内に国会を開かなければならないと定めています。選挙が行われ、議員が入れ替わった時でも30日以内に開かなければならないというのが憲法の考えですから、臨時国会はもっと短い期間で開かれなければなりません。

 
 
 
 
沖縄弁護士会
会員 小口 幸人
 
 
※琉球新報2020年9月26日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。
 

 

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