法律コラム

 

半グレと暴力団の違い

Q.最近ニュースで話題となった半グレとはどのような存在なのでしょうか?暴力団との違いや法的な扱いなどについて教えてください。

 
A.暴力団は,絶対的な上下関係を基礎として擬似的な親子関係を構成するピラミッド型の構造を特徴とした組織です。一方,半グレとは,暴力団に所属せずに犯罪行為を行う集団をいいます。暴力団のような組織化されたピラミッド型の構造は存在せず,あくまで地元の先輩後輩などの関係でつながった関係が集団化したものにすぎません。
 
 また,法律上では,暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(いわゆる暴対法)で暴力団が定義されていますが,半グレについては法律上の定義がありません。
 
 暴力団は上記の暴対法や県が定める暴力団排除条例などによりその行動を制限されています。例えば暴力団の構成員は,銀行で預金口座を作ることができません。そのため,暴力団は法の規制により行動を制限され,収入の減少などにより勢いを落としています。一方で,半グレについては,暴対法や暴力団排除条例の適用はありません。半グレは若い層を中心に人数を増やし,その勢いを日に日に増しています。
  
 暴力団と半グレは,互いに敵対し,排除しあう関係にあるわけではありません。暴力団としては行動が制限されて満足に動けない代わりに半グレを手足として使用し,半グレとしては暴力団から対価を得るという相互協力的な関係にあることがほとんどです。両者には上記のような違いはあれども,暴力や詐術等を用いて犯罪を行うような存在であることには変わりはありません。
 
 暴力団や半グレとの間で何か問題が生じた場合は,一人で悩まず,身近な警察や弁護士などにご相談ください。

 
 
 
 
沖縄弁護士会
会員 下間 俊哉
 
 
※琉球新報2020年8月19日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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