もしも突然、自分が犯罪の被害者になってしまったら。動揺が大きく、どうしたらいいのかわからなくなってしまうかもしれません。昨今の新型コロナウイルスによるストレス増加の中、家庭内暴力(DV)や虐待などのおそれが高まるのではないかとも言われています。
現在では、犯罪被害者に対する様々な支援制度、相談窓口が整備されてきています。犯罪被害に遭った場合には、ご自身の身の安全確保をした上で、警察や犯罪被害者の支援を行っている関係各団体にご相談下さい。犯罪被害者支援を行っている団体として,沖縄弁護士会(098-865-3737)、犯罪被害者ゆいセンター、性被害の場合には、沖縄県性暴力被害者ワンストップ支援センターなどがあります。
犯人が起訴された場合、刑事裁判によって、有罪か否か、有罪ならどのような刑罰を受けるかが決まります。一定の事件については、被害者が刑事裁判に参加し、証人尋問や被告人質問を行ったり、処罰に関する意見を述べたりする制度があります(被害者参加制度)。これらを行うときに、心身の状態等に応じて、付添いや、被告人や傍聴人との間で遮へい等の措置をとってもらうことも可能です。
また、刑事裁判を利用した簡易な手続により、被告人(加害者)に対し、被害者が被った損害(治療費や通院費、精神的苦痛に対する慰謝料など)の賠償を請求できる制度もあります(損害賠償命令制度)。刑事事件にならない場合には、民事裁判などで、加害者に対し損害賠償請求を行うといった方法があります。昨今、全国各地では、犯罪被害者支援条例を制定する動きも広がっています。犯罪被害者が泣き寝入りすることがないよう、条例のさらなる広がりが望まれます。
沖縄弁護士会
会員 末松 実紗
※沖縄タイムス2020年6月8日『くらし』面に掲載したものを一部修正しています。