沖縄県における任意保険の加入率は依然として低く、交通事故の当事者となった場合に、相手方が任意保険に加入していないことがあります。相手方が任意保険に加入していない場合、相手方の自賠責保険には支払限度額があるため、また相手方に十分な資力がないことも多いため、自賠責保険や相手方による補償だけでは、必ずしも十分でないこともあります。
しかし、このような場合に、これ以上の補償を望めないかというと、必ずしもそうではありません。まず、ご自身が契約する自動車保険の内容によっては、その保険による補償が受けられる可能性があります。どの程度の補償が受けられるかは、保険契約の内容により異なりますので、ご自身の保険証券等を確認する必要があります。
また、相手方が仕事中の交通事故の場合には仕事先の会社に対して補償を求めることが、相手方の車の所有者が別にいる場合には当該所有者に対して補償を求めることができる場合があります。このように、交通事故の相手方が任意保険に加入していない場合であっても、さまざまな選択肢に目を向けることで、十分な補償を受けられる場合があります。
交通事故の相手方が任意保険に加入していないためお困りの方は、ご自身の損害の補償についてどのような選択肢があるのかを、法律の専門家である弁護士に相談してみることをお勧めします。沖縄県内には、那覇市と沖縄市に、交通事故に関して弁護士に無料で相談できる相談所があります(「公益財団法人日弁連交通事故相談センター」といいます)。1回の事故につき5回まで無料で相談できますので、ご利用を検討されてはいかがでしょうか。沖縄弁護士会が窓口となっていますので、相談を考えている場合、事前にお電話をしてみてください。
沖縄弁護士会
会員 具志堅 尚也
※沖縄タイムス2020年3月9日『くらし』面に掲載したものを一部修正しています。