法律コラム

 

借金の整理 多様な方法 早めに相談を

 法律相談をしていると以下のような質問をお受けすることがあります。「父から相続した土地に、住宅ローンを組んで私名義の自宅を新築しました。その後、同居する母の病気の医療費のため借金し、看病もあって返済が思うようにできません。できればトートーメ―のある自宅を失いたくありませんが、どうしたらよいでしょうか」

 

 まず、借金の整理の方法として、自己破産という言葉を聞いたことがあると思います。自己破産をすると、不動産等の財産が売却され、債権者に配当されます。自己破産手続きでは、財産が売却されても返済できない借金は、裁判所の免責許可決定が出れば返済しなくていい点が大きなメリットですが、自宅は失うことになります。


 そこで、住宅ローン以外の借金について月々の返済額を減らしつつ、自宅を残すために、個人再生手続き(住宅資金特別条項付)を裁判所に申し立てる方法があります。この手続きでは、住宅ローンについては従来どおり返済して、自宅を残しつつ、住宅ローン以外の借金だけを減額して分割払いにすることができます。また、住宅ローンについても従来通りの返済額では難しい場合には、月々の返済金額を減らすリスケジュールを行うこともできます。ただし、住宅ローンの減額はされませんので注意してください。裁判所を通さない任意整理でも自宅を残すことはできますが、住宅ローン以外の借金を減額できる点で、個人再生手続きの方が、メリットが大きい場合があります。


 借金の整理にはさまざまな方法があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。借金返済が難しい場合には、早めに弁護士に相談することをお薦めします。なお、沖縄弁護士会では、多重債務者のための無料法律相談もやっていますのでご活用下さい。
 

            

沖縄弁護士会

会員 坂本 恵子
 

※沖縄タイムス2020年1月13日『くらし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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