法律コラム

 

子どもの貧困 制度の周知は不十分

 子どもの貧困という言葉をご存じですか。「学費のことを心配して高校や大学への進学を諦める」「家計のためにアルバイトをして部活動を諦める」「むし歯になっても治療できない」というような状況に置かれている子どもが、日本では13・9%もいるといわれています。

 

 沖縄県では特に深刻な状況であり、沖縄県の貧困状態に置かれている子どもは29・9%もいるといわれています。


子どもは、未来を担う「社会の宝」であり、無限の可能性がありますが、子どもの貧困により、多くの子どもが成長し発達する権利を侵害されているのです。


子どもの貧困対策として、児童手当、児童扶養手当、義務教育課程における授業料と教科書代の無償等の制度があり、全く対策が取られていないわけではありません。また、2013年6月には「子どもの貧困対策推進に関する法律」が制定され、国や地方公共団体がさまざまな事業や制度制定などを進めています。


しかし、児童手当等は十分な額ではなく、特に母子家庭では、母が睡眠時間や子どもとの時間を削って仕事をしても、貧困状態から抜け出せない家庭が多くあります。また、授業料以外にも、給食費、制服代、修学旅行代など多くのお金がかかり、これらの費用を支給する就学援助制度の周知は十分ではありません。そして、子どもが高校、大学と進学する場合には授業料等の負担は非常に大きなものです。


このように、子どもの貧困は深刻な状況であり、その対策は不十分といわざるを得ません。そこで、九州弁護士連合会および沖縄弁護士会では、子どもの貧困のない社会を実現するためのシンポジウムを、10月25日午前9時から沖縄ハーバービューホテル彩海の間で開催します。参加は無料ですので、お気軽にご参加ください。

            

沖縄弁護士会

会員 川津知大
 

※沖縄タイムス2019年10月14日『くらし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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