法律コラム

 

無料を謳った求人広告 自動更新条項の有無確認を

 「無料」を謳った求人広告の勧誘にご注意下さい。昨年末頃から、インターネット無料求人広告をめぐるトラブルが全国で多発しており、県内でも相談件数が急増しています。


 トラブルの内容は、県内の事業者が、インターネット求人広告を扱う会社から、無料での求人広告掲載の勧誘を受け、無料だからと気軽に申し込むと、無料期間の終了後、知らぬ間に有料期間でも広告が継続されて高額な広告料が請求されるというものです。このようなトラブルになる理由は、申込時の契約書に一定期間を過ぎても利用が自動的に更新される条項(「自動更新条項」)が記載されながら、勧誘時には求人広告会社から十分な説明がなされず、契約書にも特に目立った形では記載されておらず、自動更新条項の存在に通常は気付かないためです。


 求人広告会社の中には首都圏での裁判提起を示唆して執拗な請求を行うものもあり、不本意なまま支払ってしまった事業者も確認されています。


 県内事業者の人手不足が深刻化しており、求人に力を入れる事業者が増えていくと考えられるため、同様の勧誘・トラブルは今後も続く可能性が高いです。


 このような「自動更新条項」を用いた勧誘手法は、これまでも健康食品や化粧品等のサンプル商法で用いられてトラブルになりがちでした。無料求人広告の勧誘に限らず、今後も形を変えて同様の被害が繰り返される可能性があり、事業者のみならず一般消費者も注意が必要です。


 無料求人広告のようなトラブルに巻き込まれないために、契約を申し込む際は、自動更新条項の存在の有無を確認するほか、契約書や相手会社からの文書等を隅々まで読むなど、十分に注意して下さい。「無料」を謳った勧誘には、落とし穴がある可能性があります。            

沖縄弁護士会

会員 津嘉山陽
 

※沖縄タイムス2019年7月8日『くらし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

 

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