法律コラム

 

海外との取引が不安

Q.小規模の会社を経営しています。沖縄に旅行に来ていたある外国の会社の社長が当社の製品を気に入ってくれ、輸入して自国で販売したいというオファーが来ています。興味はあるのですが、海外との取引は不安です。どうしたらいいでしょうか。

 
A.近年海外から多くの外国人が来沖しており、海外との取引を始める県内企業も増えています。特にアジアには大きな経済的発展を遂げた国が多くあり、沖縄は地理的にこれらの国と近いこと、日本国内の市場の状況などから、取引先をアジアなど海外に求めることはとても魅力的です。
 
 では、どのようなことに気を付けたらよいでしょうか。国内では、契約書を作らず、あるいは契約の細部を曖昧にしたまま取引を開始するケースがよく見られますが、海外との取引ではこのような対応は禁物です。
契約書が作られていても、外国語で書かれているため細部までチェックせず署名・押印してしまうということもあるようです。ご質問のようなケースで、先方の会社に独占的販売権が与えられていることに気がつかずに署名等してしまい、同じ国の他社から引き合いがあった際にビジネスチャンスを逃してしまったということもありました。
 
 国際取引では、裁判を通じた紛争解決は、費用・時間・実効性の観点から現実的ではないことが多いため、トラブルを予防する仕組みを契約書の中で組み上げておくことが大切です。
 
 沖縄弁護士会では、ジェトロ(日本貿易振興機構)沖縄との連携による法律相談事業など、中小企業の海外展開支援に向けた取り組みをしており、外国語での業務が可能な弁護士も対応しています。一度法律専門家のアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
 
  
沖縄弁護士会
会員 松崎 暁史
 
 
※琉球新報2019年4月18日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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