法律コラム

 

違法な取り調べ まだある?

2025年1月6日 琉球新報 法律何でも相談コラム 掲載

違法な取り調べ まだある?

 

Q 違法・不当な取り調べが行われた事件があると聞きました。どのような取り調べが行われたのでしょうか。

 

A 捜査官による取り調べは、外部からの連絡を遮断されたいわゆる「密室」で行われるため、捜査官が威圧したり、利益誘導したりといった違法・不当な取り調べが行われることがあります。

 湖東事件では、捜査官の利益誘導があり、自白調書が作成されてしまいました。Nさんは、取り調べ中、弁護人のアドバイスに従って否認をしても「逃げるな」「そんな弁護士を信用するな」と言われたことや、捜査官からジュース、ケーキなどの飲食物を提供されたことがあったことを述べています。

 プレサンス事件でも、Kさんに対する検察官の取り調べでは、机を強くたたいた上、激しい口調で「検察なめんなよ」などとKさんを罵倒する取り調べが行われています。

 このような違法・不当な取り調べは人権を侵害するもので、冤罪の原因にもなるため、あってはならないものです。

 特にプレサンス事件では、取り調べの様子が録音・録画されている状況であるにも関わらず、違法・不当な取り調べが行われています。今後、このような違法・不当な取り調べを防ぐには、弁護士が取り調べに立ち会うことが必要です。

 しかし、現状、弁護士が捜査機関に対し取り調べへの立ち会いを求めても、捜査機関は、法律上立ち会いを禁止するような条文がないにもかかわらず弁護士の立ち会いを拒否するため、立ち会いの実現は困難です。

 日弁連は、弁護士の取り調べへの立ち会いが認められるよう、活動しています。沖縄弁護士会では、シンポジウム「違法・不当な取り調べを防ぐ(取り調べ立ち会いの制度化に向けて)」を、2月1日(土)、沖縄県教職員共済会館八汐荘(那覇市)で開催予定です。ぜひ、ご参加ください。

 

沖縄弁護士会

会員 大嶋 功

 

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