2024年11月22日 琉球新報 法律何でも相談コラム 掲載
生活保護、必要な人は相談を
Q 生活保護は、必要な人に届いていますか?
A 生活保護については、不正受給の問題が話題になることがありますが、実は、不正受給の割合は、全体の0.29%にすぎません。むしろ、生活保護の捕捉率(生活保護の対象となる人の中で実際に受給している人の割合)は、2割から3割程度と言われています。厚生労働省の国民生活基礎調査に基づく推計(2018年11月公表)では、生活保護基準以下の低所得世帯に対する生活保護利用世帯の割合は22.6%にとどまっています。
このように捕捉率が低い要因としては、生活「保護」という名称等から制度に対するネガティブなイメージがあること、保護開始時の保有容認預貯金額の低さ、自動車保有の制限、親族に対する扶養照会等が挙げられます。また、窓口での違法または不当な対応等も理由として指摘されたりもしています。
生活保護は、憲法25条の生存権を具体化した制度であり、利用に躊躇する必要は全くありません。また、申請窓口で生活保護が利用できないと言われたとしても、支援団体や専門家に相談することによって、利用の妨げになると思われた問題が解消し、受給できることがあります。簡単には諦めず、まずは相談することが重要です。
生活に困窮しておられる方は、一人で抱え込まず、ぜひ生活保護の利用を検討されてください。
沖縄弁護士会では、12月5日(木)午前10時から午後6時まで、「全国一斉生活保護ホットライン」として、弁護士による電話相談を実施します。電話番号は(0120)158794(相談時間のみ対応)です。相談料・通話料は無料となっています。お困りのことがあれば、ホットラインまでお電話の上、ぜひ弁護士にご相談ください。
沖縄弁護士会
会員 津嘉山 陽