法律コラム

 

重罰化された性犯罪
Q.ニュースで,刑法が改正され,性犯罪が重罰化されたと聞きました。どのように変わったのですか?
 
A.性犯罪は,被害者の人格や尊厳を著しく侵害する犯罪です。特に強姦は「魂の殺人」とさえ言われています。
 
 ところが,改正前の刑法では,強姦罪の法定刑は強盗罪などより軽いものされていました。また「強姦」という行為の性質上、被害者は女性に限られ,男性が性犯罪に遭う場面を想定していないなど、性犯罪に関する刑法の規定は現代の実態に合わないとの批判がありました。
 
 そこで,平成29年6月16日成立,同年7月13日に施行された改正後の刑法では「強姦罪」「準強姦罪」を「強制性交等罪」「準強制性交等罪」に改め,加害者と被害者はいずれも男女を問わず成立し得るものとし,行為態様も、膣内のみならず肛門・口腔内に陰茎を挿入する場合にもこれらの犯罪が成立し得るとするとともに、法定刑の下限を懲役3年以上から5年以上に引き上げました。
 
  また「監護者わいせつ罪」,「監護者性交等罪」を新設し,18歳未満の者に対し,親など監護者がその影響力に乗じて性交などを行う場合は,被害者の同意の有無を問わずこれらの犯罪が成立するとしました。
 

  さらに,改正前刑法では,強姦罪などは被害者が告訴しなければ処罰できない(親告罪)とされていましたが,改正後の刑法は,親告罪規定を削除し,被害者が様々な事情で告訴できない場合でも処罰できる(非親告罪)としました。

 

  このように性犯罪に関する刑法の規定は大きく改正されています。沖縄弁護士会は,性犯罪を含む犯罪被害者の初回無料相談を行っています。一人で悩まず、ご相談ください 

沖縄弁護士会
会員 原田 育美
 
 
※琉球新報2017年11月28日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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