ハーグ条約とは
Q.国際結婚をして米国で暮らしているのですが、米国人の夫と性格が合わずうまくいっていません。現在、夫の同意を得て一時的に子どもと一緒に沖縄に帰っているのですが、このまま米国に戻らなかった場合、夫に子どもを取り返されてしまうのでしょうか。
A.2014年4月1日から、日本でも「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(いわゆる「ハーグ条約」)が発効しました。この条約は、夫婦の一方が国外に子どもを連れ去った場合などに、一旦子どもを元々いた国に戻すことを目的としています。
ハーグ条約は、子どもが連れ去られた場合の他、不法に留め置いた場合にも適用されます。ご質問のケースでは、夫が同意した期間を超えて子どもを日本に滞在させた場合、夫から子どもの返還を申し立てられたときにこれが認められる可能性があります。もし、夫のDVや児童虐待がある場合なら、子どもの返還を拒否できる可能性がありますが、夫と性格が合わないといった理由では、返還を拒むことはできません。
ハーグ条約による子どもの返還については、裁判で争われる場合もありますが、裁判外の解決機関で話し合いによる解決を望まれる方々のために、沖縄弁護士会は、外務省より委託を受けて裁判外紛争解決事業を実施しております。友好的に協議して解決を試みることは、当事者である両親だけではなく、子どもにとっても望ましいものであり、沖縄弁護士会でも既にいくつかのケースについて協議のあっせんを行っています。沖縄弁護士会紛争解決センターが窓口となっていますので、相談を考えている場合は事前に電話をしてみてください。
沖縄弁護士会
会員 鎌田 晋
※琉球新報2017年1月17日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。