法律コラム

 

認知症者の財産管理は

Q.父は認知症を患い、年金や貯金の管理を行うことができません。私が代わりに年金や貯金を管理してあげるためにはどうすれば良いでしょうか。また、私の兄が、私が父の財産管理をすることに反対した場合はどうなるのでしょうか。

 

A.認知症その他ご病気により判断能力が不十分になってしまうと、本人は自分できちんと財産管理を行うことができなくなります。そのままでは、本人が財産をどこかに無くしてしまったり、心ない人にとられてしまったりして、財産が流出してしまうおそれがあります。このような事態を防ぐため、判断能力が不十分な本人(被後見人)に代わり、家庭裁判所に選任された成年後見人が財産管理を行うものが、成年後見制度です。
成年後見人を選任するためには、家庭裁判所へ後見開始の申し立てを行うことが必要です。申し立てがあると、家庭裁判所は対象者の判断能力が不十分かどうか判断した上で、財産管理を行う者として成年後見人を選任します。
申し立ての時に、あらかじめ特定の親族を後見人候補者とすることも可能です。もっとも、親族の中に、後見人候補者が後見人となることに反対する人がいた場合、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門家が後見人に選任されることがあります。
  後見人が選任された後は、後見人が被後見人の年金や貯金などの財産管理を行い、また月々の支払いなども行うことになります。後見人は財産管理の状況を定期的に家庭裁判所へ報告することが必要となります。成年後見制度は判断能力の不十分な人の財産を守る制度として重要な制度です。
 

沖縄弁護士会
会員 西端裕子
 
※琉球新報2016年12月20日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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