2024年8月20日 琉球新報 法律何でも相談コラム 掲載
取り調べに弁護士立ち会える?
Q 警察署や検察庁で取り調べを受ける場合,弁護士に同行してもらうことはできないのでしょうか。
A 取り調べは、多くの場合、捜査機関の建物内にある取調室で行われます。取り調べを行う側はプロの捜査官で、取り調べを受ける側は一般の方という場合がほとんどです。それゆえ、取り調べは、レフェリーもセコンドもついていない状況でアマチュアボクサーとプロボクサーが試合をするようなものと言われます。捜査官のペースで取り調べが行われる上、取り調べを受ける側の権利が十分守られないなど不適切な取り調べが行われることがあるのです。袴田事件など、不適切な取り調べによる虚偽の自白は、冤罪の温床と言われています。
最近でも、黙秘権を行使している被疑者が検察官から「ガキだよね。」などの屈辱的な言葉を一方的に浴びせられた事例や、警察官から「泥棒に黙秘権があるか。」という暴言を受けた事例などが明らかになっています。
このような不適切な取り調べを防止するためには、弁護人の立ち会いがぜひとも必要です。そもそも、一般の方が、取り調べで弁護士に立ち会ってもらい法的な助言を受けたいと考えるのは当然です。そして、刑事訴訟法等に弁護士が取り調べに立ち会うことを禁止する条文はありません。
現状では、取り調べに弁護士が立ち会いを求めても、ほとんどの場合、捜査機関から拒否されていますが、立ち会いが実現した事例もあります。
また、弁護士が取調室の外で待機して、取り調べを受けている方が適宜、取調室の外に出て弁護士から助言を受ける「準立ち会い」と呼ばれる取り組みもあります。
今後は、準立ち会いではなく、アメリカ、イギリス、韓国、台湾といった諸外国のように、取り調べに弁護士が立ち会うことが認められなければならないと考えています。
沖縄弁護士会
会員 大嶋 功