合理性欠く辺野古埋め立て
Q. 辺野古新基地建設のための埋め立てには、法的にどのような問題点があると考えられますか?
A. 海を埋め立てるには、公有水面埋立法が定める要件をクリアする必要があります。同法第4条1項1号は、その埋め立てが国土利用上適正かつ合理的であることを要件としています。ところが、なぜ辺野古の海を埋め立て、基地を建設せねばならないかについて、国から合理的な説明がなされたと言えるかは疑問です。辺野古の海の埋め立ては、ジュゴンなどの生物を含めた貴重な環境を失わせる恐れもあります。加えて、辺野古移転では、在日米軍基地の約7割を抱えている沖縄県内での基地固定化を招き,基地負担の軽減にはならないという声も大きいところです。以上の点から、適正かつ合理的な埋め立てと言えるかという問題があります。次に同項2号は、その埋め立てが環境保全および災害防止について十分配慮されていることを要件としています。しかし、現在の埋め立て計画において、辺野古周辺の生態系、ウミガメ類、サンゴ類、海草藻類、ジュゴンに及ぼす影響、騒音・低周波音の問題を的確に把握し、適正な環境保全措置が講じられたと言えるかについては疑問も残るところです。
海の埋め立てについてではなく、新基地の建設という観点からは,公有水面埋立法の問題だけではなく、地方の住民の同意なくして国が新たな米軍基地を建設できるのかという日本の民主主義・地方自治に深く関わる重要な憲法問題もあります。
沖縄弁護士会では,11月14日(土)午後1時から、タイムスホールで辺野古新基地建設を題材に専門家を招いてシンポジウム「民主主義における自己決定と地方自治」を開催いたします。ご参加をお待ちしております。
沖縄弁護士会
会員 安里 学
※琉球新報2015年10月22日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。