法律コラム

 

「自殺問題」個別の悩み対応

Q. 弁護士会は自殺問題についてどのような活動をしていますか。


A. 警察庁の統計によれば、1998(平成10年)から2011(同23年)まで14年間、わが国の自殺者数は連続して年間3万人を超えました。沖縄県でも例年300人を超えており、これは交通事故による死者数の6倍以上の規模に匹敵します。
 

 自殺に至る直接の契機は、多くが心の健康問題に起因します。ただ、その背後には社会経済的な問題が存在している場合がほとんどです。失業、多重債務、DVを含む家庭問題、職場での人間関係、いじめなど、適切に対処・対応することで乗り越えうるさまざまな問題が複合的に重なり、心理的に追い込まれ、正面からこれら問題の解消・克服に取り組めないまま、結果的に自由意思で適切な行動を選択することができず、自殺に及んでしまうケースが多いと考えられています。その意味で多くの自殺は「強いられた死」であるとも評されています。
 

 沖縄弁護士会は、多重債務、労働・生活保護問題、犯罪被害者、女性問題や子どもの悩みなどにつき、これまで個別の法律相談を実施するなどして取り組んできましたが、数年前より「強いられた死」である自殺問題に特化した「いのち見つめるプロジェクトチーム」を組成して、この問題に正面から取り組んでいます。
 

 このたび、希死念慮者を支えている支援者の方々に向けて「自死問題支援者法律相談」を始めることにしました。家族、相談・治療にあたっている医師、ソーシャルワーカー、精神保健福祉士、臨床心理士や看護師の方々などからお電話をいただき、弁護士が相談に乗るというものです。一人でも多くの方々の命を救うべく、積極的にご利用いただければ幸いです。専用ダイヤル☎098(943)3748 受付時間は平日午前9時半~午後4時、相談は無料。

 

 

沖縄弁護士会
会員  天方 徹 
 
※琉球新報2015年9月22日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

 

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