法律コラム

 

少年法理念は更正・育成

Q. 少年が罪を犯した場合の手続きが成人と異なるのはなぜですか。


A. 少年が罪を犯した場合の手続きは、刑罰を科す成人の手続き(刑事裁判)と違い、家庭裁判所が非公開の少年審判で、少年を施設に収容して教育を受けさせるか、それとも社会の中で指導を受けさせるか、といった少年の更生のための処分を決める手続きです。弁護士は審判の手続きにおいて付添人として少年の立場に立ち、被害者の方に謝罪や賠償をしたり、少年が社会に戻れるように家庭や学校、職場などの環境調整などを行います。
 

 少年は肉体的・精神的・社会的に未成熟で成長途中であり、環境の変化や適切な教育により劇的に立ち直ることができる存在です。そのため少年法は罪を犯した少年に対しては、成人のように刑罰を科すのではなく、少年の更生・健全な育成のために必要な保護処分を行うとしているのです。
 

 少年法については近年、少年の凶悪犯罪の増加を理由に、少年法の適用年齢を現行の20歳未満から引き下げるべきだとの意見も聞かれます。しかし統計上、少年犯罪は2005年以降減少しており、少年の凶悪犯罪が増えているという事実はありません。
 

 少年の再非行率は成人の再犯率よりも低く、このことは、少年法が少年の更生に有効に機能していることを示しています。 単純に少年法の適用年齢を引き下げただけでは、例えば19歳で比較的軽微な犯罪を行った場合は起訴猶予や罰金刑で済まされ、かえって更生に必要な教育が施される機会を失ってしまいます。

 このような少年事件の実情や、少年法の理念を理解した上で、冷静な議論がなされることを望みます。

 

 

沖縄弁護士会
会員  伊志嶺 公一 
 
※琉球新報2015年8月22日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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