跡地法順守と情報開示必要
Q.沖縄市のサッカー場など、米軍返還跡地から土壌汚染物質が発見される例がありますが、今年3月に返還された西普天間住宅地区や今後の返還予定地は大丈夫なのでしょうか。
A.2012年4月、いわゆる跡地利用特措法が施行されました。同法によれば、軍用地の土壌汚染の状況や廃棄物の有無などについて返還後に国が調査し、土地利用上支障となるものは所有者へ引き渡す前に除去するとされています。
西普天間住宅地区においては、返還前の調査中に土中からドラム缶が発見され異臭が確認されるなど、土壌などの汚染が強く疑われる状況にあります。
そもそもの問題は、米軍が汚染物質などの除去責任を負わない日米地位協定にあります。その点はおくとしても、県民の健康および財産を守るためには、国が跡地利用特措法に基づいて汚染状況などを調査し、汚染物質などの除去を行う必要があります。そして、その実効性を担保するためには、調査結果が市民に公開される必要がありますが、昨年12月に沖縄防衛局が公開した資料では、米軍の許可が得られないという理由で、ドラム缶を含む現場写真が非公開とされています。また、県や市も国に対して積極的に情報開示を求めるとともに、国任せにせず、独自の調査や検証を行うべきです。
これまでにも県内では、米軍返還跡地から重大な汚染物質が発見される事例が発生しています。返還跡地の速やかな利用は県民の願いですが、安全性がおろそかにされることがあってはなりません。西普天間住宅地域の返還は、跡地利用特措法が適用される最初の返還です。国、県および市が、今後のモデルとなるような環境調査を実施することが強く望まれます。
沖縄弁護士会
会員 金高 望
※琉球新報2015年5月19日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。