法律コラム

 

障がい者参加は世界潮流

Q.昨年「沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」が施行されましたが、どのような条例なのですか?


A.2006年に国連で「障害者の権利条約」が採択され、障がいのある人の社会参加が世界的な潮流になってきました。そのポイントは「障がいがある」ということについての意識の転換です。これまでのように心身の不具合があることではなく、社会的な障壁によって心身の不具合がある人の社会参加が妨げられている状態と考えるのです。つまり「障がいがある」という言葉の意味が変わったのです。日本でも障害者基本法改正や障害者差別解消法制定などここ数年の間に法制度が大きく変わりました。
 

  沖縄県条例(インクルーシブ社会条例)の制定・施行も、こういった潮流の中で進められてきました。「インクルーシブ(共生)」とは、障害のある人の社会参加を妨げている事物、制度、慣行、観念などの社会的障壁を除去していくことを社会の共通目標にしようという考え方です。そこでは障害のある人を「援助が必要なかわいそうな人」と考えるのではなく、「社会に貢献できるのに社会がその力を生かしきれていない人」と考えます。そして、障がいのある人が障がいのない人と等しく社会参加ができるよう、人としての尊厳を守り、地域で生活し活動する権利を保障しようとするのです。
 

  沖縄弁護士会では、3月14日(土)にインクルーシブ社会について考える公開シンポジウム「障害のある人の人権と法-何が変わり、今後どのような方向に進むのか-」を開催します(午後2時~4時、自治会館ホール)。入場無料、事前予約不要です。この問題に広く関心を持っていただきたく、多くの市民の皆さまの参加をお待ちしています。問い合わせは沖縄弁護士会事務局☎865-3737。
 

沖縄弁護士会
会員  岡島 実
 
※琉球新報2015年2月17日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

前のページへ戻る