法律コラム

 

差別助長する憎悪表現

Q 最近よく「ヘイトスピーチ」という言葉を聞きますがどのようなことをいうのでしょうか?


A 「ヘイトスピーチ」の定義は定まっていませんが、社会的少数者などへの差別・偏見に基づく憎悪(ヘイト)を表現することで、差別表現などと訳されています。例えば東京の新大久保や大阪の鶴橋などには在日コリアンが多く住んでいますが、時に数百人の集団が在日コリアンに対し、聞くに堪えない言葉を発しながら、道路上を行進するなどのデモが起きています。
 

  2009年には京都朝鮮初級学校校門前で、授業中に数人の大人が「キムチ臭い」などと叫ぶ事件が起きました。学校側は事件を起こした「在日特権を許さない市民の会」(在特会)を相手に裁判を起こし、最高裁は2014年12月、在特会側の上告を棄却しました。これで学校の半径200メートル以内での街宣活動の禁止と約1200万円の損害賠償を命じた判決が確定しました。
 

  憲法は人格権、すなわち人が人として尊重される権利を保障しています(憲法13条)。このような「ヘイトスピーチ」は、社会的に少数で不利な状況に置かれた人々の心を傷つけ、さらに不利な状況に追い込む上、偏見を助長することにもつながりかねません。憲法が定める人格権を侵害する行為です。
 

  このような少数者や社会的弱者に対する差別表現に無関心でいれば、その表現を助長することにもつながりかねません。今となっては少なくなっていますが、過去に沖縄出身者が県外で差別にあってきたことを考えると、今後、このような「ヘイトスピーチ」が沖縄の方に向けられないとも限りません。 これを機会に「ヘイトスピーチ」について関心を持ってはいかがでしょうか?
 

沖縄弁護士会
会員  三宅 俊司
※琉球新報2015年1月20日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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