法律コラム

 

貧困の連鎖断ち切るために

Q.私は実家が裕福でなく、奨学金をもらいながら大学を出ました。就職先が見つからず、アルバイトや借金をしながらなんとか生活しています。しかし奨学金返還のめどもたたず、将来への不安が募ります。どうしたらよいでしょうか。


A .親の離婚や失業などで経済基盤が揺らぎ、進学を断念する沖縄の子どもたち。その先にあるのは厳しい現実です。
 

  先月末に発表された本年度の沖縄県の最低賃金は677円と全国最安です。有効求人倍率では,今年8月の全国平均が1.10倍に対し,沖縄県は0.74倍と全国で最も低い水準です。昨年の県内若年層(15~29歳)の失業率は8.5%と仕事が得にくい状況で、沖縄労働局によれば若者の約2人に1人は非正規雇用で働いています。
 

  奨学金もその多くは給付ではなく貸与型なので、経済的な負担が減るわけではありません。近年では、たとえ奨学金であっても、返済を滞納した者への取り立てが厳しく、将来を自力で切り開こうとする若者の足かせになりかねない状況となっています。
 

  貧しさの連鎖を断ち切るため、弁護士がサポートできることがあります。例えば、賃金不払いや解雇などの労働問題、生活保護をめぐる問題です。弁護士の支援のもと、労働問題の改善や生活保護を受けるなどすれば、貧困状態を改善する道が開かれます。現在の生活を見直す余裕を得ることで、子どもへの悪影響や負担を最小限にとどめることも可能です。
 

  沖縄弁護士会は労働者側の労働に関することや、生活保護受給者・受給希望者の生活保護に関することについて、弁護士による法律相談を実施しています。お悩みの方は、「労働と生活保護相談窓口」電話098(865)3737(平日午前9時~午後5時)までお気軽にお問い合わせください。
 

沖縄弁護士会
会員 山田 英之
 
※琉球新報2014年10月21日『ひと・暮らし』面に掲載したものを一部修正しています。

 

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