2024年4月17日 琉球新報 法律何でも相談コラム 掲載
SNS詐欺 注意点は
Q SNSを使った投資詐欺が流行っていると聞きました。どのような点に気をつければよいでしょうか。
A 3月の警察庁の発表は、昨年の全国におけるSNS型投資詐欺とロマンス詐欺(主として投資誘導)の被害が合計455億円を突破し、被害平均は約1200万円という驚くべきものでした。その手法は①SNS上で偽広告やDMを大量に流し、②反応した者をグループ招待してサクラ役で囲い込み、③うその成功話と利益額を見せかけた偽アプリ等も用い、金をだまし取るものです。
偽広告は有名人を装いますが、生成系AIの普及で偽物と見抜くことが困難な状況で、また囲い込みには練り込まれた巧妙なシナリオが準備され、国内外の犯罪組織が行っています。実際に、3月末にはタイで60人あまりの外国人詐欺集団が逮捕された事例がありましたが、だまし取られた金銭の返還を請求する先が外国に所在している場合、被害の回復は大変困難なのが実状です。
現在は④最初は少額の利益を渡し、信用して高額な投資をしたところで根こそぎ奪ってしまう手法や⑤「(投資金は今引き出せないが)凍結解除の費用を払うと引き出せる」等として繰り返し費用名目の金銭をだまし取る手法、などが組み合わされています。
こうした手法は、ハッカーの世界でソーシャルエンジニアリングと呼ばれる、相手の心理を利用して被害をもたらす基本的な方法から派生したものです。大切なのは、まずはこうした詐欺手法の存在を知ること、そしてうまい話に警戒を怠らない各人の姿勢です。特に、今のSNS上には偽情報が横行しているので、信頼できるメディア等の公式サイトで直接確認を行い、絶対に送金を急ぐことなく、弁護士や警察、消費生活センターなどの公的機関にも意見を求める、といった用心深さが必要です。
沖縄弁護士会
会員 髙良 祐之